特別研究成果

平成26年度特別研究推進事業について
 特別史跡三内丸山遺跡では、総合的・学際的研究を展開し、より一層遺跡の全体像の解明と縄文文化に関する研究を進めるため、関連する研究を実施しています。
個人研究
縄文時代の「盛土遺構」または「三内丸山遺跡」、「円筒土器文化」に関連する遺跡・遺構・遺物を対象とし、考古学的な研究以外に、民俗学や地理学、建築学などの視点による研究も対象とする、個人による研究。
共同研究 三内丸山遺跡について、複数の研究者による学際的な分析研究。


平成26年度の研究成果概要
(詳細な報告は年報19に掲載)
○個人研究
研究テーマ 盛土出土の石器組成について
ー北盛土出土石器を中心としてー
研究者 高橋 哲(青森県埋蔵文化財調査センター)
研究成果概要  この研究の目的は、三内丸山遺跡出土の剥片石器を用いて、縄文時代前期の円筒下層式から中期の円筒上層式・大木系土器群にかけて、剥片石器(石匙・削器・掻器・石箆)の用途がどのように変遷するかを論究することである。剥片石器の用途を明らかにするのに石器使用痕分析を用いた。
 分析資料は、三内丸山遺跡の北盛土を選択した。この北盛土は、層位的な調査が行われた結果、縄文時代前期から縄文時代中期にかけての石器の変遷が明確になっている。縄文時代前期は石器組成に占める石匙の割合が高い。一方縄文時代中期は石器組成に占める石匙の割合が低下し、石鏃、石箆などが多くなるといった傾向が伺える。
  石器使用痕分析の結果、円筒下層式期の石匙にはイネ科植物に特有に生じるAタイプ光沢がかなりの割合で確認でき、植物資源に対して用いられた可能性が非常に高いことが明らかになった。一方円筒上層式期以降、石器組成に占める石匙の割合が低下し、かつAタイプ光沢が確認できる石匙は減少する。動物資源関連の使用痕が多く確認されている削器・掻器・石箆などは、前期から中期にかけて大きな用途の差は認められなかった。中期に石鏃が増加することに伴い、動物資源に対して用いられたと推定される石匙・石箆や掻器などが多くなる結果となった。このことから縄文時代前期と中期とで、剥片石器の用途に差がみられることが確認できた。
 同じ傾向は三内丸山遺跡の第6鉄塔地区、南盛土でも確認されている。また青森県、秋田県、岩手県、北海道における他遺跡で同じ分析を行ったところ、北東北では概ね三内丸山遺跡と似た結果が得られた。しかし北海道や青森県下北半島の津軽海峡側では縄文時代前期でも石匙にAタイプ光沢が確認できた事例は少なかった。地形、遺跡の立地などで生業活動が異なる可能性がある。今後はより小さな地域ごとにその用途研究を進める必要がある。

研究テーマ 土壌微細形態学的分析からみた溝状遺構
(第38次調査の成果)
研究者

三内丸山遺跡保存活用推進室

研究成果概要

 第38次調査で確認した、溝状遺構の性格及び機能等を解明するため、参考となる情報を得る目的で土壌微細形態学分析を行った。土壌微細形態学分析とは、未撹乱状態の土壌を薄片にし、光学顕微鏡などで観察する方法である(平山・宮路2003)。
  分析では、溝状遺構が機能していた際の情報を得るために基盤層(第Z層)と底面、その直上で認められる堆積物等の試料を採取した。
 分析結果から、溝状遺構が掘削されてから、機能し埋没する過程が大きく以下のように考えられた。
1 溝の掘削が行われる。
2 基盤層(第Z層)とその直上に堆積する薄層が地表面として、一定期間掘り方を維持しながら開放状態にあった。
3 その後、壁の崩落土や周囲からの土の流入で壁際に偽礫を含む初期堆積が起こる。
4 人為的に溝が埋められる。

平山良治・宮路淳子2003「第6節 土壌微細形態学」『環境考古学マニュアル』同成社




その他の年度の研究成果概要について
平成10年度から行われている、特別研究推進事業の研究成果の概要について紹介します。

【平成10年度〜12年度の研究成果概要は、こちら】

【平成13年度〜15年度の研究成果概要は、こちら】15年度分の詳細報告は年報7。

【平成16年度の研究成果概要は、こちら】

【平成17年度の研究成果概要は、こちら】

【平成18年度の研究成果概要は、こちら】

【平成19年度の研究成果概要は、こちら】

【平成20年度の研究成果概要は、こちら】

【平成21年度の研究成果概要は、こちら】

【平成22年度の研究成果概要は、こちら】

【平成23年度の研究成果概要は、こちら】

【平成24年度の研究成果概要は、こちら】

【平成25年度の研究成果概要は、こちら】

なお、詳しい研究内容は「三内丸山遺跡 年報」に記載されています。


 

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