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令和6年度 縄文の里山育成体験実施報告

三内丸山遺跡センターでは、地域住民の参画による縄文里山の育成を行い、特別史跡三内丸山遺跡に対する愛着と保護意識を醸成するため、縄文の里山育成体験を実施しました。

 

第1回 令和6年9月1日(日曜日)

テーマ:クリの木の生育状況を調べよう

講義では、当センター保存活用課職員が縄文の里山育成体験のねらいについて説明後、三内丸山遺跡の植物の特徴について解説しました。参加者も三内丸山遺跡の発掘調査でみつかったクリやクルミ、ブナなどを手にとり、実の大きさや色、状態などを観察・記録し、縄文時代に三内丸山ムラで利用されていた植物について理解を深めました。

講座のねらいの説明 講義の様子

三内丸山遺跡の発掘調査で

見つかった植物の観察

 

フィールドワークでは、青森自然誌研究会会長の齋藤信夫氏を講師として、植物観察と樹木調査体験を行いました。三内丸山遺跡内にあるクリ、オニグルミ、ブナ、コナラ、ミズキなどを観察し、枝や幹、葉の特徴について理解を深めました。また、遺跡内には縄文時代にはなかった外来種のニセアカシアが繁茂していることも学びました。

 

植物観察の様子 ブナの葉の特徴を解説する齋藤氏 外来種の観察の様子

 

その後、縄文植物園において樹木調査を体験し、クリやオニグルミ、トチノキ、コナラなどの樹木の直径や樹高を計測し、樹皮や葉、枝などの状態を観察・記録しました。観察を通じて、参加者はクルミやトチノキの木に実がなっていることや、葉が枯れている木や樹皮がはがれている木もあるなど、樹木の生育状況をまとめました。

樹径の計測の様子 樹高の計測の様子 樹木の状態の観察・記録

 

第2回 令和6年9月29日(日曜日) 

テーマ:クリの実を収穫しよう

当センター保存活用課職員が縄文時代のクリの利用について解説後、遺跡内のクリ林でクリの実の収穫体験を行い、縄文時代と現代のクリの実の大きさの違いなどを学びました。その後、今年3月に開催した縄文の里山育成体験で植えたクリの苗木の生育状況を観察・記録し、順調に育っていることを確認しました。

講義の様子 クリの実の収穫体験の様子 苗木の観察の様子

 

第3回 令和6年10月5日(土曜日)

テーマ:クリの木を剪定しよう

当センター保存活用課職員が縄文里山の維持管理について解説後、三内丸山遺跡出土の石斧を観察し、かたちや大きさ、石材の特徴、つくり方などについて理解を深めました。

その後、遺跡内のクリ林にあるニセアカシアなどの外来種を伐採しました。はじめに石斧を使い、その後にノコギリを使って伐採し、縄文時代の伐採のたいへんさを感じることができました。参加者の皆様の御協力により、クリ林内にあった支障木がなくなり、日当たりがよくなりました。

石斧の観察の様子 石斧を用いた木の伐採 伐採した外来種

 

第4回 令和6年11月2日(土曜日)

テーマ:縄文里山の資源を活用しよう

遺跡内の植物資源を活用し、持続可能な縄文里山育成につなげるため、ワークショップデザイナーの石岡有佳子氏(Artstudio Tete代表)を講師として招いて、遺跡内で採集したクリのイガを用いた染色体験と伐採した外来樹木(ニセアカシア)を用いた縄文コースターづくりを行いました。ワークショップを通じて、受講者の皆さんは三内丸山遺跡とのつながりをより深く感じるきっかけとなったようです。

 

〇クリのイガを用いた染色体験

染色体験について解説する石岡氏 クリのイガを煮出す様子 布を染料液に浸します

 

染めた布を媒染液に浸します

絞りに用いた輪ゴムをとります 記念撮影

 

〇縄文コースターづくり

木を輪切りにします デザインを描きます 絵の具で色を付けます

 

受講された方々の感想をご紹介します

・クリを集めたり、クリの木をせん定したり、ふだんできないことができた。

・縄文時代の人がクリをどのように使っていたのかが分かった。

・植物やその利用の観点からフォーカスすることが初めてで楽しかったし、縄文時代の生活や縄文人の考えをより深く考えるきっかけになった。

・外来種を伐採して縄文時代のクリ林に近づけられたことが興味深かった。

・縄文時代について詳しく知ることができたり、実物を見たり触れたり、体験することができた。

・毎回体験内容が異なったので、毎度新たな体験ができて楽しかった。

・世界遺産になった三内丸山遺跡へ足を運ぶ機会がほぼなく、子どもに体験活動をさせる良い機会だった。

・楽しかった。世代を超えた交流、学びの場は大変良いと思う。

 

 

三内丸山遺跡で縄文の里山育成とムラづくりの体験をしよう!!