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三内丸山遺跡についてabout

平成17年度

自由課題研究

研究テーマ

「三内丸山遺跡台地北西端(第27次調査区付近)の遺物包含層形成過程の解明 -堆積状況の観察と出土炭化物のAMS14C年代測定-」

研究者

村本 周三(総合研究大学院大学文化科学研究科)

研究成果概要

 本研究では、縄文時代前期から中期に形成されたと考えられる第29次調査区で、断面や火災住居から採取した木炭や炭化種子のAMS-14C年代測定を行い、遺跡北西部の斜面地の形成過程と利用の変遷を推定した。

 第29次調査区は、発掘調査から褐色土層が形成された時期、黒褐色土層が形成された時期、火災住居が住居として機能していた時期に分けられることが分かっている。年代測定の結果、褐色土層は大きく2時期に分けられ、古段階は3500 cal BC~3400 cal BC、新段階は3350 cal BC~3250 cal BCないしは3250 cal BC~3100 cal BCに形成されたと考えられる。黒褐色土層はは2700 cal BC~2300 cal BC、火災住居の建設は2500 cal BC~2450 cal BCと考えられる。土量との関係から、褐色土層は黒褐色土層に比べ、大規模かつ短期間に形成されたと考えられる。

 

 

総合研究

研究テーマ

「青森県の縄文時代遺跡におけるウルシ植物の存在とウルシ利用の実態の考古植物学解明」

研究者

鈴木 三男(東北大学植物園)

研究成果概要

 ウルシは中国原産とされるが、縄文時代を通して漆製品が存在している。ウルシが大昔に日本列島に来たのか、あるいは日本自生なのかという謎を明らかにするため、 1)ウルシの分布を調査し、葉、花、花粉、種子などの形態学的検討試料及びDNA解析試料の収集に努めた。これらの生育地での観察から我が国のウルシは植栽されたものに由来し、自生のものはないことが確認された。また、2)果実、花粉、材でウルシを他の種から識別する方法を確立し、それにより、遺跡出土遺体の検討を行い、縄文時代の広範な遺跡に於いてウルシの存在を認めた、さらに、3)「漆塗り」出土遺物が本当に漆製品なのかを明らかにするため、三内丸山遺跡出土「漆製品」のいくつかについて、赤外線分光分析を行い、腕輪などの塗膜が漆であること、また、蛍光X線分析でこれに塗られている赤色顔料がベンガラであることなどを明らかにした。

 

 

年報

年報 10