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三内丸山遺跡についてabout

令和元年度

研究テーマ

三内丸山遺跡・大人の墓等土質遺構の保存活用を目的とする復元的展示材料の開発研究

研究者

澤田 正昭(東北芸術工科大学 文化財保存修復研究センター)

研究成果概要

 土質遺構の屋外展示では、遺構自体を補強強化し露出展示する手法と遺構面を覆うレプリカによる展示手法が一般的である。屋外環境では、降雨や温湿度変化等の過酷な条件下で耐久性のある構造とする必要がある。また、寒冷地では、冬季の凍結融解に対する耐久性も求められる。本研究では、過去に土質遺構の保存強化処理が行われた遺跡の現状を調査すると共に、実験室において、樹脂処理を行った土壌の凍結融解実験を行い、どの様な保存材料が望ましいのか検討を行った。遺跡調査では、青森市三内丸山遺跡、熊本市史跡池辺寺跡、人吉市大村横穴群、北海道モヨロ貝塚等の事例について調査を行った。本調査結果からは、変性エポキシ系樹脂(サイトFX)で処理した擬土が耐久性に優れていることが確認された。また、熊本の池辺寺跡での処理例に見られる様に、施工前、その擬土の基盤となるベースを強固にすればするほど耐久性がよいことも確認された。また、カンボジアでの暴露実験などの結果から、施工後、擬土表面をアクリル樹脂等でコーテイングすることで、耐候性を増加できることも確認している。これらの調査結果は、土質遺構の展示材料について検討を行う上で重要であると考える。