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三内丸山遺跡についてabout

さんまるの仕事場

発掘調査から整理作業まで

発掘調査
水洗い、注記、接合・復元、拓本
種子や骨の選別、報告書、収蔵、保存処理

 

 

 

発掘調査

発掘調査のようす

 各時代の地層を1枚ずつ取り去りながら、どこに、どんなものが、どのようにしてあったか、土の中の情報を詳しく記録します。発掘調査最盛期の平成6年には、調査員10人、調査補助員28人、作業員580人が調査にあたりました。

 

作業員のおばちゃんたちの声

津軽弁:A

あみゃぁふりゃあ、てもあすもひゃっけしてたんげへづねすて、やめでまるがな、って思ったりもすね~。すたばって、めごい土偶っこだの土器っこだのてっぺ出はれば、発掘すていがったじゃ、っでいづも思らね。

おばちゃんの声

訳:A
雨が降ると手も足も冷たくてすごく辛く感じて、(この仕事を)やめてしまおうかな、って思ったりもします。でも、可愛らしい土偶や土器がたくさん出てくると発掘してよかったなぁ、といつも思います。

 

津軽弁:B

調査に向かう作業員さんたち

こごだば、のれおぎゃくさん来るはんで、最初だばわもあんつか緊張すてらったばって、今だばたんげ慣れだじゃ。たまにおぎゃくさんさ、すつもんされるごどあって、答えらいねばめぐせはんで、わも最近じょーもんだのの本ば読んで勉強すてらのさー。

おばちゃんの声

訳:B
ここでは、たくさんのお客さんがおいでになるので、最初は私もすこし緊張していましたが、今ではだいぶ慣れてきました。たまにお客さんから質問されることもありますが、それに答えられないと恥ずかしいので、私も最近縄文に関係する本を読んで勉強しています。

 

津軽弁:C

発掘調査のようす

わがいっづも出はればいなぁ、っておもっちゃあのがやずりっこだのさー。土偶もめごいんだばって、わいじゃぁのすか出はんねはんで、おもしぇぐねぇんず。やずりっこの、とぐにこぐようせぎのやづだのだば、つぢがらではればびがびがとひがって、まんずきれぇだやー!

おばちゃんの声

訳:C
私が、いつも(発掘してて)でてくれればいいなぁ、と思っているのが、矢尻(石鏃)です。土偶もかわいいんだけど、どこか割れているものしか出土しないので、楽しいとおもいません。矢じりで、特に黒曜石製のものだと、土から出てきた時、ぴかぴかと光っていて、本当にきれいですよ!

 

津軽弁:D

はっくづだば、まんず様々だものつかるはんで、びっくらすたね!ねご、スコップ、いしょぐだばまんだわがるばって、鍬だけんだジョレンだの、らいすかれーば盛るお玉、ステーキ食うナイフだの、焼き鳥さ刺す竹串だの、いっぱだだね。すかも、すらねなめえのものもよげで、なめえおべるだけでもかちゃくちゃねね!

おばちゃんの声

訳:D
発掘では、本当に様々な道具を使うので、驚きました。ネコ(一輪車)、スコップ、移植ごてならまだわかるけど、鍬のような形をしたジョレンとか、カレーライスを盛りつけるときに使うお玉、ステーキを食べるときに使うナイフとか、焼き鳥に刺す竹串とか、大変なもんです。しかも、知らない名前の道具も多く、名前を覚えきるだけでも大変でいらいらするほどです。

 

 

水洗い、注記、接合・複合、拓本

水洗い

出土した土器や石器などをハケやブラシを使って水洗いし、遺物に付いている泥を落とします。すると、土器などの模様がはっきり見えるようになり、詳しく観察できるようになります。

水洗いの風景

作業員さんの声

  • 漆が付いた土器は、強く擦ると表面の漆が取れてしまうので、慎重に洗っています。
  • 洗って初めて何か分かるものもあり、その時の感動は大きいです。

 

注記

土器や石器がいつ、どこから出土したか分かるように、ひとつ一つに「住所」を小さな字で書きます。土器の裏側にひとつずつ手で書くこともありますが、同じ内容を大量に書く場合は、注記をする機械を使います。

注記の風景

作業員さんの声

  • 出土した場所などの情報を書くので、間違わないように気を付けています。
  • 必要な情報を、目立たないように入れないといけないので、米粒よりも小さな字で書いています。

 

接合・復元

ほとんどの土器は破片になって出土します。出土したときに近くにあって、模様が同じものや、特徴的なものは破片をつなげることができます。つなげたとき、破片がない部分には、石膏を入れて元の形を復元します。

接合・復元の風景

作業員さんの声

  • はじめは時間がかかりましたが、慣れてくると土器の形がイメージできるようになり、接合を楽しめるようになりました。
  • 言ってみれば、パーツのたりない立体ジグソーパズルです。

 

拓本

土器に和紙を密着させ、墨で土器の模様を写しとります。実測図では表現しきれない部分もあるので、拓本をとって記録します。

拓本の風景

作業員さんの声

  • 和紙に墨をあてる力加減が難しい。均等になるように墨を付けないと、拓本にムラができてしまう。
  • 模様の凹凸が大きいと、土器に和紙を貼り付けにくく、和紙が破けてしまうことがあるので難しいです。

 

 

実測、トレース、種子や骨の選別、報告書、収蔵、保存処理

実測

復元された土器や石器、木製品などの形や模様を詳しく測って図面にします。コンピュータを使って実測する方法もあります。

実測のようす

作業員さんの声

  • 立体的なものを、平面に記録するのは難しいです。
  • 縄目など、模様の付け方を理解していないと描けません。

 

トレース

実測図を報告書に載せるため、実測図の上にトレーシングペーパー(写し紙)を重ねて、きれいにペンで写し取ります。こうして本に載せると見やすくなるのです。

トレースの様子

作業員さんの声

■線が震えないように引けるようになるまで、時間がかかりました。

■それらしく見えるように、書き方に工夫をするようになりました。

 

種子や骨の選別

土の中に混ざっている植物の種や魚、動物の骨を探します。土を水で洗いながら、いろいろなサイズの篩(ふるい)にかけて選り分けてゆきます。最終的には顕微鏡で覗きながら、ひとつずつ選別します。

種子や骨の選別

作業員さんの声

■何が出てくるか、どきどきわくわくします。

■ずっと顕微鏡を覗いているので、目が疲れます。

 

報告書

トレースされた図面や実測図、拓本や写真を使って、発掘調査の成果を文章にまとめて本にします。

報告書の写真

 

収蔵

土器や石器などの遺物は、いつでも見られるように整理して収蔵します。

収蔵の風景

 

保存処理

そのままでは崩壊してしまう脆い遺物は、薬剤などを使って保存処理します。

保存処理前

保存処理後